渡航準備

海外赴任、持ち家は空き家?売却?賃貸?どうする?経験談

海外赴任が決まった時に最も悩ましいのは持ち家をどうするか?です。

マイホームを一度は空き家に、一度は売却した経験のある筆者が各選択肢のメリット・デメリットについてお答えします。

選択肢

持ち家の運営について、選択肢としては以下の4つがあります。

難易度としては、以下の順で難しくなっていきます。

  1. 空き家サービスを利用
  2. 売却
  3. リロケーションする(一定期間賃貸契約)
  4. 賃貸に出す(普通賃貸契約)

空き家サービスを利用

我が家ははじめての海外赴任では空き家サービスを利用しました。

理由は、海外への赴任期間が比較的短い(1~2年)と予めわかっており、賃貸やリロケーションでは借り手がつかないと思ったからです。

また赴任先がアジアであったこともあり、年に何度か一時帰国する予定があったのでいつでも家に帰って来れるようにしました。

メリット

家を空っぽにする必要がないので、引っ越し直前も慌てて処分したり売却せずにすんだためラクでした。

大切な家財を全て家に置いておくことができますし、一時帰国の際にも家具が揃っているので問題なく寝泊りや自炊ができます。

夏休みや年末年始、長期の一時帰国の際などの宿泊費や食費を節約することができるのは大きなメリットといえます。

逆に言えば、一時帰国の際には実家に泊まる・国内旅行に出かける場合にはメリットが薄くなるでしょう。

もう一つのメリットとして家族の精神面があります。

本帰国した際にまた一から人間関係を築く必要もなく、家具を一から揃える必要もなく、住み慣れた土地でスムーズな再スタートが切れます。

デメリット

住んでいないにもかかわらず住宅ローン、固定資産税、管理費、修繕積立費などもろもろのお金が全てかかってきます。

減価償却による物件の価値が下がることも考えられるでしょう。

また最近の家は気密性が高いため、空気の入れ替え通気をよくしておかないと、家にカビが生えたり定期的に通水していなければ排水管も劣化します。

また、ポストの投函物がいっぱい・お庭のお手入れを全然していないと周囲に空き家だということが一発でバレてしまいます。

ですので、通水・通風に加え、郵便ポストの整理や草むしり(戸建)を知人や親せきにお願いするか、空き家管理サービスを利用することになります。

空き家サービスは月に一回1万円程度が相場で年間12万ほどかかります。

筆者の場合、実家が遠方あるため、月1回の空き家サービスを利用していましたが、夏場は換気の回数が全く足りませんでした。

夏場は、湿度・気温が上がったため、ダイニングチェアの布地の部分がカビてしまいました。

めい
ソファやカーペットも要注意

また、暖かくなると雑草があっという間に成長するので、近所の方が見るに堪えず除草してくれたこともありました。

売却

我が家は2回目の海外赴任でマイホームの売却を決意しました。

理由としては、海外赴任期間が3~5年と長いこと、まだ築年数が浅く売却しやすいこと、地方の戸建であったため賃貸の需要が極端に少なかったことなどです。

メリット

海外にいると遠く離れた土地の管理が難しく、支払いや納税もろもろの手続きをすることさえ容易ではありません。

売却してしまえば、住宅ローンや固定資産税などもろもろの支払いから解放されますし、精神衛生上ラクです。

賃貸やリロケーションと違い、現状での売却になりますのでクリーニングしたり賃貸用に環境を整える必要もありません。

3~5年も家を離れると子供も成長し、マイホームへの考え方が変わっている可能性も高いので売却は最もおすすめです。

めい
子供が小さいうちと大きくなってからの住居のニーズは全然違う。今はいつでも引っ越せるように投資にもなる物件に住んでるよ
ピロピロ
アメリカの田舎にいたから、もう人うじゃうじゃの都心には戻れない…

デメリット

物件によっては多少の損が生じることです。

売却の際には住宅ローンを一括で支払う必要があります。

しかし売却することによって得られる金額が極端に少なくローンを一括で完済ができない場合には、売却が難しくなります。

また、渡航までの限られた期間で売却するとなると早く売りたい気持ちが先走り安く売却してしまいがちです。

我が家の場合、タイミング悪く渡米直後に購入希望者が現れたため、契約のため日本に一時帰国せざるを得なくなりまた出費がかさみました。

めい
リロケーションも同時に募集してたからクリーニングの出費もかかった…

売却することで多少損をすることはありましたが、その分国内でかかるはずだったお金を投資に回すことができたので損をしてでも売却してよかったと今では思っています。

めい
お気に入りの家を手放すのは結構辛かったけどね…

本帰国の際には、住む家を一から探すことから始まります。

国外からの家探しは現物を見ることができないので、エリアの目星がついていない場合には、住んでみてはじめて土地のデメリットに気づくということが起こりえます。

リロケーション

リロケーションとは物件を貸す期間が決まっている賃貸です。

メリット

家賃収入が得られる点が最大のメリットといえます。

家賃収入を住宅ローン等の支払いに充てることができるので、金銭的な負担を押さえながら家をキープすることができます。

リロケーションの場合、間に企業が入ることによって入居者の募集、賃貸契約の締結、賃料収受や修繕等、退去手続きなどまで全て任せられるので、海外赴任者に人気です。

お持ちの物件が人気エリアで借り手がつきやすい、将来物件価格が上がる見込みという場合にはキープしておくメリットがあると言えます。

デメリット

貸し出す期間を短くすればするほど入居者を見つけるのが難しくなります。

入居者は決められた期間で退去しなければなりませんので、ある程度将来(進学や就職など)が決まっている住居者に絞られます。

そのため、賃貸価格を安く設定しなければ住居者が見つからないこともあるでしょう。

また、リロケーションサービスを提供する企業には手数料を、持ち家にかかるもろもろの費用(固定資産税、管理費、修繕費等)は変わらず支払わなくてはなりません。

家賃収入によって儲かるということはほとんどなく、物件によっては住宅ローンの補填にしかならないでしょう。

そして何より、決めた期間よりも早く帰国することになった場合には期間満了まで住む場所がありませんから、結局は仮住まいを探すことになります。

その場合、子どもの学校のことも考えると、持ち家周辺にエリアが限定されるなど選択肢が狭まります。

また逆に、駐在が長引いてしまった場合には空き家リスクが高くなります。

めい
タイミングよく貸せるわけじゃない

その他には、持ち家と違って賃貸住居者は家のメンテナンスをさぼりがちですから、ある程度の傷み、劣化は避けられません。

そして海外からの確定申告など手続きの煩雑さは計り知れません…

賃貸に出す

期間を設けずに賃貸に出す方法です。賃貸物件などはこちらの形態が圧倒的に多いでしょう。

住居者は退去する心配がないので、希望する限りいつまでも住み続けることができます。

リロケーションに比べると借り手を見つけることが比較的容易になってきます。

しかし、物件を住宅ローンで購入していた場合には、投資用の物件としてローンの借り換えが必要となります。

自宅用の住宅ローンと違って金利が高くなりますので注意が必要です。

メリット

リロケーションよりも高く家賃を設定することができ、家賃収入を得られます。

もともと投資を見込んで購入していた場合や、一括で購入又は金利が高くても収入が見込める場合には検討の余地があります。

また都心では物件価格が高騰していますから持ち続けていれば儲けが出る可能性もあります。

デメリット

居住者の退去のタイミングがわからないため、いつ元の家に戻れるのかわかりません。

お子さんの進学や環境の変化等も考慮すると持ち家は貸したまま、自分たちは賃貸に住み続ける選択をするかもしれません。

また入居・退去の回数が多いほどクリーニング費、修理費等がかさみます。

古くなればリフォーム、壁紙の張替えも必要ですし、固定資産税・管理費・修繕費は変わらずかかります。

またリロケーションと違って長期で居住されるとその分メンテナンスされずに放置される箇所が増え、特に水周りやキッチン周りの劣化は早くなります。

加えて家族で住める広さの物件は、子連れの居住者がほとんどなので、扱いが雑で傷や汚れをつけられやすいということも頭の片隅に置いておきましょう。

もろもろの費用・確定申告などの煩雑な手続き等、海外にいながらのクレーム対応など考慮すると、一部の優良物件以外は賃貸のメリットは薄そうです。

結論

いかがでしたか?筆者のおすすめは断然売却!ですが、お持ちの物件がどのような性質かによっても判断が別れそうですね。

参考までに筆者の周りの話を聞いてみると、

  • 地方住み、実家の近所、築年数が経っている物件→空き家か売却(赤字)
  • 都心部、築年数が浅い、優良物件→売却かリロケーション(物件価格高騰のため儲けあり)
  • 地域が気に入っているので離れたくない→リロケーション(赤字かトントン)
  • 物件の価値が上がりそうなのでキープしたい→リロケーション(トントンか少し儲け)

という感じでした。

まずは一括査定を申し込み持ち家の価値を知ることから始めてはいかがでしょうか?

査定する際には1社だけで査定するのではなく、何社か検討した方が良いでしょう。

以下簡易査定できるサイトをいくつか紹介しておきます。

査定額が高いからといってすぐに1社に決めてしまわないようにしてください。

高い査定額で釣っても、その価格で売れなければ意味ないですからご自身でも近辺の相場を把握されておくことをおすすめします。

また、不動産会社には得意・不得意がありますからその地域で売却実績がある不動産会社を選ぶのも一つの手でしょう。

おまけ:空き家サービスの紹介

最後に、筆者が利用した空き家サービスの紹介です。

結論からいうと、夏場は月1回じゃ足りませんから組み合わせがおすすめです。

基本は大東建託パートナーの外部巡回サービス5500円/月に、季節に応じて日本郵便の通風・通水サービスを利用すれば価格を押さえられますよ。

日本郵便(空き家の見守りサービス)

出典

お住まいの近くの郵便局員さんが郵便ポストの整理や周囲の状況を確認し写真付きで送ってくれます。

郵便局のネットワークを生かして全国でサービスを展開しており、安心感もあります。

利用料は1回980円で以下のことを写真付き(最大5枚)で報告してもらえます。

年に12回、4回、2回と選べるので必要に応じて訪問回数が選べるのも良いですね。

確認項目

住宅外観、庭木・雑草、郵便ポスト、不法投棄、玄関の施錠、玄関周辺、隣家へ越境物の有無

必要に応じてオプションをつけることも可能です。

  • 通風・通水サービス 500円/回
  • 災害後見回りサービス 3,000円/回
  • 郵便ポスト投函物片付け(宅内) 300円/回
  • 郵便ポスト投函物送付(実家など) 800円/回

詳細は公式HP

大東建託パートナー(空き家活用サービス)

アパート・マンションを管理する会社の子会社が運営しており、全国でサービスを展開しています。

約70分しっかり換気や掃除、簡単な除草作業までやってくれ、郵便物の送付もサービスに含まれています。

出典

戸建の場合は月1で11000円、マンションの場合は月1で8800円となっています。

実施項目

通気・換気、簡易清掃、通水、雨漏りカビ確認、庭木確認、建物状況確認、郵便物の整理・送付、玄関前簡易掃除

詳細は公式HP

 

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